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  • 大坪顧問のキャッシュフロー講座②キャッシュフローとは何か

Part.1 キャッシュフローとは何か

1.利益とキャッシュフローの違い

キャッシュフローとは、1年間で生み出された現金(キャッシュ)の量といえます。キャッシュがどのように生み出され、何に使われ、いくら残ったかを示したものがキャッシュフロー計算書です。損益計算書上の利益がプラスでもキャッシュフローがプラスすなわち現金が残ったとは限りません。

 

「黒字倒産」という言葉があります。利益があがっていても現金がないことから破綻に至ることですが、正に利益とキャッシュフローの違いを表しています。表面上の利益があがっていてもキャッシュフローがマイナスの決算期が連続すると企業として存続不能となります。

 

2.キャッシュフローはどのように表されているのか。

1999年、国際会計基準に合わせる形で上場企業に「キャッシュフロー計算書」の作成が義務づけられました。損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)に次ぐ第3の財務諸表と言われていますが、PLとBSから計算することができます。

 

中小企業には作成義務はありませんが、金融機関に決算書を提出していれば金融機関にて必ず作成されていますので、それを貰うのも一法かと思います。しかし、一度は自分の手で計算することをお勧めします。(Part.2で計算方法を説明します)
 

3.キャッシュフローがなぜ重視されるのか。

キャッシュフローは、投資家にとってみればその企業の事業価値を計るものであります。また、金融機関にとってみれば、設備資金のような長期での借入金の返済原資となるものであり、返済能力を測るものとなります。現在では金融機関の企業審査において最も重視される数値です。とりわけ、借入金残高とのバランスにおいて、何年で借入金が完済可能か算定され、債務者区分に反映されます。(インターネットにて公表されている金融庁マニュアルにおいて「キャッシュフローによる債務償還能力」等によって債務者が区分されると記載されております)

 

4.キャッシュフローはどのように計算されるのか。

詳しくはPart2で説明しますが、キャッシュフローはPLとBSで計算できます。PLでは利益に伴う現金の増加が把握できますが、BSでは資産の増減や負債の増減に伴う現金の増加もしくは減少が把握できます。このふたつを合算したものがキャッシュフローです。概略は以下の通りです。
 
まず、PLの当期利益に現金支出の伴わない費用である減価償却費や引当金積立額を加えます。これを簡易キャッシュフローと言います。
 
次に、BSにて資産の増減を見ます。たとえば代表的な資産である売掛債権・棚卸資産・固定資産(償却後)が増えていればそこに現金が使われていると考えることができるため簡易キャッシュフローから減額します。逆にそれらの資産が減っていれば簡易キャッシュフローに加えます。負債については買掛債務などが増加していれば現金調達されていると考えられ簡易キャッシュフローに加えます。逆に減少していれば簡易キャッシュフローから減額します。こうして算出されたキャッシュフローの数字がプラスであれば現預金の増加もしくは借入金の減少という形で貸借対照表に現れてくることになります。マイナスであれば現預金の減少もしくは借入金の増加となりますが、そうした状態が何期にもわたり連続すると企業としての存続が危ぶまれる、と言うことになります。
 
次回Part2では、キャッシュフロー計算書の策定方法とキャッシュフローの種類を説明します。

 

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