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会社の再生手法

_DSC65410007.jpg   会社の再生手法を選択するにあたっては、まず、会社の貸借対照表を検証して実質的に債務超過に陥っていないかを確認し、続いて損益計算書をもとに借入金の返済原資を算定して、そもそも再生が可能か否か、再生が可能として借入金の免除まで必要かを検討することとなります。

1 再生可能な場合(借入金の免除までは不要な場合)

年間(場合によっては1か月間)を通じて入出金の時期にずれが生じる会社では、取引先の倒産等により売掛金の回収が困難となったり、一時的に売上が減少した場合には、運転資金の不足により事業の継続が困難となります。

この場合、資金繰りを確保するためには、外部から必要な資金を借入れるか、借入金や買掛金の支払時期を変更することが考えられますが、新規の借入れを受けることは困難なことが多い上、支払時期の変更も仕入れ先等によっては取引を拒絶されるおそれがあります。

このため、金融機関に対する約定返済のみを変更すれば運転資金を確保できる場合には、金融機関に対して元本返済の停止を要請し、その後、売上原価の見直しや販管費の削減等の経営改善を行いつつ金融機関との間で元本の返済方法について協議を行い、返済方法を継続可能な条件に変更する必要があります。

2 再生可能な場合(借入金の免除が必要な場合)

貸借対照表に計上されている資産と負債とを実質的に評価した結果、債務超過に陥っている一方、経常利益の減少によって債務超過を解消するまでに相当長期間を要する会社の場合には、単なる返済条件の変更では事業継続に向けた抜本的な対策にはなりません。

この場合には、以下に記載するいくつかの再生手法を講じる必要があります。

(1)DDS(資本性借入金)

DDSとは、金融機関が会社に対して有する貸付債権を、取引先等に対する他の債権に劣後する債権に変更する手法です。

この方法は、借入金の債務額自体には変更はないものの、借入金の返済時期が大幅に伸張されることとなるため、資金繰りの改善に大きく寄与することとなります。

DDSは、通常の返済条件の変更よりもその効果は大きいですが、財務内容が抜本的に改善されるわけではないので、適用は財務内容が大きく毀損していない会社に限られると思われます。

(2)DES(債務の株式化)

DESとは、金融機関の既存の借入金債務を株式に転換する手法です。
DESはDDSと異なり、決算書上も負債が資本に振り替わるため、負債が減少して自己資本が充実することとなり、債権放棄に近い効果が生じます。

しかし、DESの場合には、後記の債権放棄の場合と同様、会社に債務消滅益課税が発生するため、会社に益金を消滅させるに足りる税務上の欠損金がない場合には、会社は多額の税負担を強いられるおそれがあります。
 

 (3)債権放棄

債権放棄とは、金融機関が会社に対して有する貸付債権の一部を免除する手法です。
この方法によれば、会社の借入金は事業に見合った額まで圧縮されるため、会社は直接的に財務内容の改善効果を享受することができます。

しかし、債権放棄を行うにあたっては、(1)放棄を行う金融機関が放棄額について無税償却が可能となるか、(2)会社に債権放棄による債務免除益に対し課税が生じるような計画となっていないかをそれぞれ検討する必要があります。

まず、(1)について、政府系を含む金融機関は、債権放棄額を無税償却することは難しいとされており、金額の大小を問わず債権放棄に応じる見込みは極めて低いと思われます。

次に、(2)について、債務免除益に対する課税を回避するためには、これに見合う繰越欠損金が必要であるところ、中小企業の場合には、減価償却不足などといった適切でない決算処理が行われていることが多く、債務免除益にぶつけるだけの税務上利用できる欠損金が不足している場合が多々見られ、かかる場合には、課税の発生を理由として金融機関から債権放棄の承諾を取り付けることは困難となります。

このことから、債権放棄の手法は、借入金が既に金融機関から債権回収会社へと譲渡されているとともに、会社に十分な繰越欠損金が存在する場合に限られると思われます。

 

(4)第二会社方式による実質的債権放棄

第二会社方式とは、会社の事業の全部または一部を会社分割または事業譲渡により別会社に承継した後、会社を特別清算手続または破産手続により清算する手法です。

この手法により、金融機関は分割対価もしくは譲渡代金によって返済されない部分の借入金を特別清算手続または破産手続を通じて放棄する一方、会社は法人格こそ異なるものの事業自体はそのままの状態で存続させることが可能となります。

金融機関は分割対価もしくは譲渡代金如何によって債権放棄額が大きく左右されるため、会社分割または事業譲渡にあたっては予め金融機関との調整が必要であるところ、上記(3)の債権放棄の場合と異なり、この手法の場合には金融機関の無税償却の問題と債務免除益課税の問題が生じないため、抜本的な経営改善にあたっては、この手法が多用されています。

借金問題で押さえておきたい方策についてはこちらもご覧ください

●借金問題で押さえておきたい方策 ●会社の再生手法
●経営者保証の関係 ●会社の事業の承継についての対策
親族以外への承継を想定した方法  


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